第2作 | ぼくらはズッコケ探偵団 |
基礎データ
初版 | 1979年4月 |
ページ数 | 182(あとがき2含む) |
ジャンル | ミステリー |
挿絵 | 前川かずお |
あらすじ | ハチベエたち三人組は野球の練習中、とある屋敷の殺人事件に巻き込まれる。 一時、容疑者扱いされたハチベエたちは、事件解決に乗り出す。 |
章立て(後ろの数字はページ)
1 | 事件発生 | 8 |
2 | 殺された老人 | 28 |
3 | 学級会 | 33 |
4 | ボールさがし | 46 |
5 | ボールは意外なところに | 56 |
6 | 久美の証言 | 68 |
7 | ハチベエの推理 | 81 |
8 | 証拠はSS製菓のグラウンドにある | 93 |
9 | なぞまたなぞ | 106 |
10 | 第二の事件 | 120 |
11 | ガラスは二度われたか | 133 |
12 | 真犯人 | 145 |
13 | ズッコケ探偵団大活躍 | 158 |
14 | 逆転ホームラン | 168 |
作者からきみたちへのメッセージ
シャーロック・ホームズはたしかに偉大な探偵である。しかし彼は百年前の人物だ。明智小五郎は日本のほこる名探偵だった。だが、 彼も十数年前、この世を去った。金田一耕助も天才的探偵であった。しかし、彼も年をとりすぎた。 もはやこの世にいきのいい名探偵はいないのか。そう思っているきみに、この本をおくろう。その名はズッコケ探偵団! |
作品鑑賞
・長編としてはシリーズ初の作品だが、その題材にこてこてのミステリーを選ぶあたり、作者のミステリー好きがうかがいしれる。 町内の野球の試合から始まり、それがハチベエたちの個人練習につながり、ひょんなことから資産家の老人の殺人事件にむすびつくという、導入部の巧みさは相変わらずである。 物語は、様々な人々の住むその屋敷内を主な舞台とする。一方で、ハチベエのライバルにして、未来の結婚相手でもある安藤圭子を初めて登場させてドラマにふくらみを持たせている。屋敷内に住み込むお手伝いの女性とその娘の境遇など、暗い面もしっかり編み込まれているが、ストーリーそのものは、単純で、読後感も平凡だ。 |
・作者はあとがきで、自作を密室モノだと書いているが、ここで使われているのは密室と言うより、殺害時間を誤魔化すことでアリバイを作る手法なので、厳密には密室モノとは言い難い。また、警察が現場のガラス片を調べもしないで捨てるなど、不満もある。しかし、ハカセを中心として様々なデータを分析して犯行を再現していく推理の過程は読ませる。 |
・ハカセの独善ぶり、モーちゃんのもてぶり、ハチベエの無類の行動力など、三人の個性がより強く発揮される描写が見られる。 一方で、事件解決そのものには役立っていないモーちゃんにも見せ場を作ってあげるなど、作者の配慮が見られて心地よい。 |
・ラストの野球のシーンも、面白い。考えれば、シリーズ中、野球を題材にした作品は他にないのは不思議である。作者は運動が苦手で、運動会を題材にした「ズッコケ大運動会」もかなり後期になって書いているくらいだから、そのせいかもしれない。 |
・初の長編と言うこともあってか、章立てはシリーズ最多の14である。 |
・安藤圭子に加え、金田進と言うクラスメイトが初登場。典型的な秀才で、クラス委員長をつとめている。荒井陽子も1冊目に続き登場し、彼女がクラス委員だと言うことが書かれている。 |
管理人の評価
・児童文学のミステリーとしてはよく書けているが、情感と言う点ではやはり物足りなさが残る。 | ランクB |
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