第4巻 | あやうしズッコケ探検隊 |
基礎データ
初版 | 1980年12月 |
ページ数 | 198(あとがき2含む) |
ジャンル | アドベンチャー |
挿絵 | 前川かずお |
あらすじ | 愛媛県の港町に住むハチベエのおじさんのところへ三人組は夏休みを利用して遊びに訪れた。 しかし、モーターボートに乗って近くの島に行こうとしたところ、ボートの故障で三人は漂流するハメに。 そして小さな無人島に辿り着く。三人組のサバイバル生活が始まった。 |
章立て(後ろの数字はページ)
1 | 漂流 | 8 |
2 | 北緯25度・東経136度 | 46 |
3 | あやうし三人組 | 87 |
4 | ふしぎな老人 | 127 |
5 | さらばガイコツ島 | 173 |
作者からきみたちへのメッセージ
かつて、少年は冒険の旅にでた。ハックルベリーも、ジム・ホーキンスも、ニルスも、桃太郎も……。 そしていま、きみは、きょうも家と学校と塾のあいだを往復しただけで一日をおえてしまう。 きみに、冒険の心をおくろう。冒険こそ、少年の宝ものだ。 |
作品鑑賞
・純粋なアドベンチャーとしては、シリーズ最高傑作だろう。それが証拠にこれ以降、同様のジャンルは一冊も書かれていない。 冒頭から、ボートで漂流している三人組と言うつかみもばっちりの書き出し。その後、時間を遡ってのそんな羽目に陥った過程の描写も、実にテキパキとしていて心地よい。 似たような導入部の、シリーズ後期作「海底大陸の秘密」などのもたついた文章とは雲泥の差である。 |
・無人島に辿り着いてからの三人組の反応や、サバイバルも、小学生の身の丈にあったリアルな描写で、同じ読者である小学生たちが熱中したのもうなずける。 欲を言えば、もう少し無人島でのサバイバルライフを読みたかった。本編では、結構早い段階で○○○○が登場するので、無人島ライフに割かれるページは、実は意外と少ないのだ。 |
・島で図らずも出会った老人との交流や、○○○○捕獲作戦に移ると、物語はだいぶ色調を変えてしまう。 もっとも、「ロビンソン・クルーソー」のようにひたすら無人島での生活を描いても、後半は単調になってしまっていただろうから、それはそれでいいのかもしれない。 老人の過去に影を落とす「戦争」や、身寄りのない老人の問題など、終盤になって「気楽な」無人島生活とは懸け離れた遣る瀬無いリアルをつきつけてくるのは、いかにも那須正幹らしい。 |
・無人島を離れて、日常に戻った後の描写も、巧みに読者の肩を透かす感じで、動から静へのリズムの変幻を操る手捌きに、作者のストーリーテラーとしてのずば抜けた才能を見る思いで、改めて唸らされてしまった。 |
管理人の評価
「ズッコケマル秘大作戦」や「ズッコケ山賊修行中」などに比べれば、読後感の強烈さは少ないが、娯楽性ではそれらを上回る、5本の指に入る傑作である。 | ランクS |