第6作 | ズッコケ時間漂流記 |
基礎データ
初版 | 1982年8月 |
ページ数 | 182(あとがき2含む) |
ジャンル | SF、歴史 |
挿絵 | 前川かずお |
あらすじ | 花山第二小学校に赴任してきた音楽教師・若林雪子はその美貌と優しさから、たちまち生徒たちの人気者になる。放課後、ピアノを教えてもらおうと彼女の元を訪れたハチベエたちは、不思議な鏡の中に吸い込まれ、時代劇のセットと見紛うような世界にやってきた。三人は二百年前の江戸にタイムスリップしてしまったのだ! |
章立て(後ろの数字はページ)
1 | なぞの美人先生 | 8 |
2 | 時間漂流 | 32 |
3 | 平賀源内あごをなでる | 84 |
4 | さらば安永八年 | 134 |
作者からきみたちへのメッセージ
この本を読むと、社会科に強くなる。理科が好きになる。算数のテストで満点がとれる。国語の実力がつく。音楽が得意になる。 図工が楽しくなる。体育がいやじゃなくなる。道徳の時間によそみをしなくなる。というような夢がみられるかもしれません。 |
作品鑑賞
・シリーズ初のSF。ただ、江戸時代の様子がリアルに描いてあるので、歴史ものと言い換えてもいいかもしれない。どちらも、作者の好みのテーマである。むしろ、歴史もののほうがより好きなんじゃないかと思うが。 |
・SFと言っても、前半は、新しくやってきた美人の音楽教師にハチベエがすっかり魅了されてしまい、その流れで偶然、タイムストリップしてしまうと言う、いかにも那須正幹らしい身近な導入部が実に上手く描いてあって、感心させられる。 |
・三人がタイムスリップした先は、田沼意次の賄賂政治で有名なころの江戸で、平賀源内というこれまた微妙に有名な歴史上の人物と出会う。ただ、源内と出会ってからは、ストーリーの流れが停滞してしまう感じがするのが惜しいし、後半、展開が急で、バタバタして収束してしまうのも、ちょっと残念かも。 |
・江戸時代の風俗など、作者はしっかりと調べて、時代劇のようでなく、ちゃんとリアルに描いているのは頼もしいが、一方で、チャンパラ活劇で味わえるようなドキドキしたストーリーではないので、その辺も物足りないと言えばそうだ。その鬱憤を、後年、「ズッコケ驚異の大時震」で晴らしたと見るのは穿ちすぎだろうか。 |
・最後に平賀源内が陥る運命についても、ちゃんと史実に沿った展開にしている。雪子先生のさだめられた運命や、突然の別れ、ハチベエが最後に空を見上げてつぶやく慨嘆など、SFならではの非現実的な哀感が漂うラストが素晴らしい。 |
・しかし、これも、エイジ40シリーズでそのうち続篇が書かれそうで、ちょっとイヤだ。 |
管理人の評価
・作者のSFシリーズは平均点が悪いが、これはその中でも恐らくトップクラスの出来。ただ、全体の中では特に際立って面白いとも言えない。 | ランクB |