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ズッコケ三人組全巻紹介009
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第9作 ズッコケ財宝調査隊

基礎データ

初版 1984年6月
ページ数 190(あとがき2含む)
ジャンル 歴史ミステリー、アドベンチャー
挿絵 前川かずお
あらすじ 夏季合宿の帰途、ハチベエたち三人はモーちゃんの田舎である安井町へ泊まりに行く。
モーちゃんのおじさんの事故死、戦争中の逸話などを聞かされているうちに、三人組は興味を抱き、関係者の証言を集めたり、おじさんの残した「メッセージ」を読み取り、徐々に事件の核心に迫っていく……

章立て(後ろの数字はページ)

プロローグ1 8
プロローグ2 17
1 湖底の村 30
2 敗戦秘話 77
3 白い十字架 130
エピローグ 183

作者からきみたちへのメッセージ

いま百億円の財宝を手にいれたとしたら、きみはどうする。銀行に預金する? 土地を買ってマンションを建てる? プロ野球を新設してオーナーになる?
ぼくだったら……。もちろんズッコケ三人組シリーズを書くのをやめて、毎日さかな釣りをして暮らす。

作品鑑賞

・これも少しジャンル分けがしにくい。タイトルには財宝調査とあるが、「謎のズッコケ海賊島」のように純然たる宝探しではなく、むしろモーちゃんの親戚の死の謎に迫る歴史ミステリーがメインになっているようだ。ある意味、「宝探し」「歴史」「ミステリー」と、作者の好物の三題噺のような趣がある。ついでに、趣味の魚釣りの描写も過去作にないディテールで導入されている。 
・章立てが、極めてユニークと言うか、凝っていて、これだけ複雑なものは他には見られない。その分ページ数も多くなっている。
・プロローグ2のゼロ戦の不時着の様子などは、ほとんど普通小説と言っていいくらい、緻密でリアルである。
 子供の頃になくなったおじさん(母親の兄)が、モーちゃんによく似ていると言う他愛のないことから、徐々にほぐれていく過去の秘密、ドラマが三人組の前に繰り広げられる展開は極めて魅力に富んでいる。慌てず騒がず、少しずつ謎の手掛かりを三人組の前に並べていく作者の筆致も水際立っている。
・おじさんの死にまつわる悲しいけれど、感動的なエピソードで盛り上げた後で、ハカセの明察が「財宝」の隠し場所を暴露する瞬間はよくできたミステリーの謎解きを読んでいるような気持ちにさせてくれる。しかし、その分、最後の宝探し部分が肩透かし気味なのはしょうがないところ。ちゃんとその為にプロローグ1が挿入されているのだから。
・一方で、三人組自身のキャラの造形は今回それほど進まない。頭の良いハカセ、行動力抜群のハチベエ、おっとりしたモーちゃんと言う定型パターンを踏んでいるだけだ。冒頭でクラスメイトたちと別れるので、当然、彼らの出番も一切ない。
・エピローグでハカセが瞬間的に真相に近付く辺りの描写は、子供ながらにもどかしい思いをしたものだが、年を経て読むとその巧みさに舌を巻く。ついでに、作者のメッセージで、「釣りをして暮らす」と言う発想が子供にとってはいささか不可解だったが、これも今となってはよく分かる。それにしてもこの時点で既にズッコケシリーズを書くのが嫌になっていたのだろうか?

管理人の評価

・歴史ミステリーとしては児童文学のレッテルを外しても恥ずかしくない出来。しかし北京原人の頭蓋骨が少年の夢想を掻き立てないこともまた事実だ。 ランクB