第12作 | ズッコケ宇宙大旅行 |
基礎データ
初版 | 1985年12月 |
ページ数 | 198(あとがき2含む) |
ジャンル | SF |
挿絵 | 前川かずお |
あらすじ | ハカセはハチベエ、モーちゃんを連れて早朝の山にバードウォッチングをしに行く。鳥の声を録音したテープを帰ってから聴いてみると、奇妙な信号音がまじっていた。ハカセはUFO騒ぎとそれを結び付けるが、ハチベエたちはバカにして相手にしない。ハカセは意を決し、ひとりで山の中に探検に行くのだが……。 |
章立て(後ろの数字はページ)
プロローグ | 10 | |
1 | バードウォッチング入門 | 16 |
2 | 第三種接近遭遇 | 63 |
3 | スター・ウォーズ | 97 |
4 | はてしなき宇宙へ | 139 |
エピローグ | 190 |
作者からきみたちへのメッセージ
この作品は、「銀河系宇宙連邦 地球調査委員会」から、テレパシー通信によっておくられてきたものを、わたくしが文章化したものであり、 したがって原作者はわたくしではないことを、あらかじめおことわりしておきます。 ただし、本の印税は原作者と協議のうえ、わたくしがいただくことになっております。 |
作品鑑賞
・子供のときと大人になってからとで、評価が著しく違う作品。初読の時は、かなりわくわくさせられたことを覚えているが、後年になって再読すると、あまり感心できなかった。SFと言っても、いわゆるオーソドックスに過ぎる異星人との遭遇から、宇宙での冒険をテーマにしているが、その壮大さが、ズッコケシリーズの世界観とそぐわない感じが強い。宇宙船のデザインにしても、質朴すぎてロマンを煽り立ててくれないし、宇宙船に乗ってからのストーリーが、躍動感に乏しく、作品に入り込めない。意志の力で敵を倒す棒にしても、これまたセンスオブワンダーとは無縁のアイテムだった。 |
・恐ろしいエイリアンの正体がゴギブリで、それを退治するためバルサンを買いに町の薬局に戻るくだりだけ、いかにもズッコケシリーズっぽくて良かった。 |
・確かに、冒頭の朝もやけぶる森の中でのバードウォッチングや、ハカセが身近な装備品をまとってひとりで探検に行くあたりは、先の展開がとても期待できるのだが、実際に宇宙船や異星人と出会ってから、逆に話がトーンダウンしてしまう、そのあたりが残念である。物語のクライマックスを宇宙船内での戦いにしないで、宇宙船や異星人との出会いそのものに切り替えるべきだったのではないだろうか。ラストの、ある種のどんでん返しも、面白いけれど子供が読んでも今ひとつピンと来なかったのではないかと言う気がする。 |
・子供のときに評価が高かったのは、情けないことに、ヒロインの金髪美少女(のイラスト)がとても可愛かった、ただそれだけだったようだ。が、年を経てからそういうことに免疫ができると、途端に、作品そのものが色褪せて見えたのだろう。 |
・町内を舞台にしたシーンが多いものの、クラスメイトはほとんど登場しない。むしろ、モーちゃんの姉さんのボーイフレンドのことを気にかけるモーちゃんの母親の存在が目立つ程度だ。 |
管理人の評価
・導入部はとても魅力的なのだが、後半は失速してしまうという、シリーズ後期作品のような凡作。しかし、文章はだれていないので、全くつまらないわけではない。 | ランクC |