第18作 | 驚異のズッコケ大地震 |
基礎データ
初版 | 1988年12月 |
ページ数 | 214(あとがき2含む) |
ジャンル | 歴史、SF |
挿絵 | 前川かずお |
あらすじ | モーちゃんは学校の社会の成績を上げたくて、歴史マンガの三冊セットをタエ子姉さんに買ってもらう。 その話題を話しながら学校から帰っていた三人組は地震に襲われ、気が付くと全く別の野原に立っていた。 しかも、そこは時代劇に出てくるような武士たちの戦場になっていた! |
章立て(後ろの数字はページ)
1 | 関が原へ | 10 |
2 | 時代はめぐる | 62 |
3 | 新撰組の襲撃 | 112 |
4 | 地震と時震 | 162 |
作者からきみたちへのメッセージ
歴史なんて、ちっともおもしろくない。 縄文式土器がどうだとか、大化の改新で、世のなかがどうなったとか。ファミコンやってたほうが、よっぽど楽しいよ。 まあ、そういわないで、ちょっと読んでごらん。きみも、すこしは歴史が好きになるかもしれない。 |
作品鑑賞
・ほとんどの部分を歴史の裂け目に迷い込んだ三人組の右往左往する様子に費やされた異色作。それも、「時間漂流」のようにひとところに長くとどまり、その世界の人々の交流を深めるでもなく、「関が原の戦い」→「江戸時代初期」→「幕末」→「邪馬台国」→「中生代」と言うように、腰の落ち着く暇もなく、めまぐるしく年代、舞台が変わるので、ドラマ部分は極めて印象が薄い。パラレルワールドをさまようと言うSF的モチーフだけを、ズッコケシリーズのキャラを借りて書いただけの作品だ。 |
・歴史好きらしく、各パートの描写も児童文学らしからぬリアリティに貫かれている。解説もなく専門用語も飛び出すので、子供にはちょっと理解しにくいところあったのではないだろうか。 |
・面白いのは、三人組の知識や想像力が、歴史に干渉して、史実とは異なる状況がたびたび生まれることだ。最後に未来人によってその誤りを指摘するのは、一種の歴史雑学っぽくて楽しい。 |
・ドラマ要素は希薄だが、「時震」に巻き込まれる前に、モーちゃんが歴史マンガを買おうかどうしようか迷う辺りの描写は親近感を覚えて読ませる。 元の世界に戻った後、束の間出会った人々のことを夢想するくだりも、壮大なロマンを刺激して悪くない。 |
管理人の評価
・大半を過去のパラレルワールドが占める異色作。その部分部分は面白いのだが、場面を詰め込みすぎて掘り下げが低くなっているのが惜しい。 | ランクC |