第21作 | ズッコケ山岳救助隊 |
基礎データ
初版 | 1990年7月 |
ページ数 | 196(あとがき2含む) |
ジャンル | アドベンチャー |
挿絵 | 前川かずお |
あらすじ | 町内会で催される山登り。ハチベエは毎回不参加だったが、あまりに参加者が少ないと嘆く主催者の有本さんに テレビゲームを餌に参加を頼まれ、ハカセ、モーちゃんを誘って参加することになる。 きついながらも楽しい山登りだったが、深い霧に包まれた瞬間、ハチベエたちは他の参加者とはぐれて、遭難してしまう。 |
章立て(後ろの数字はページ)
1 | 花山町子ども会 夏の行事 | 10 |
2 | 霧の山 嵐の縦走路 | 55 |
3 | 誘拐事件発生 | 103 |
4 | 救助隊大活躍 | 150 |
作者からきみたちへのメッセージ
この物語を、山の好きなひとびとに贈ろう。 海の好きなひとびとにも、ぜひ読んでもらおう。 川を愛するひと、雲にあこがれるひと、そして人間をこよなくいとおしむひとに……。 どれにもあてはまらないひとは……。この物語を読んで、そんなひとになってちょうだい。 |
作品鑑賞
・久しぶりのアドベンチャー。ただし、今回は作者に経験、知識のある山登りを題材にしているため、「あやうしズッコケ探検隊」などと比べて、格段に描写、設定はリアルである。山登り自体、町内会の子ども会で催される行事なので、参加者も町内の子どもや、その保護者ばかりで、極めて身近に感じられる。 |
・ただし、山の知識の豊富な作者のこと、バンバン専門用語が飛び交い、ハチベエたちの遭難の様子、その救助にあたる大人たち、天候の描写、あらゆるディテールは研ぎ澄まされている。 |
・ハチベエたちが知らず知らず遭難し、濁流の川を越え、誘拐された少女を助け、遂には事故に巻き込まれた誘拐犯を救出するなど、ストーリーは進むにつれてフィクションの度合いを強めていくが、最後までリアリティは保たれている。誘拐犯が便を漏らしていることなど、大人小説も顔負けのドキュメントタッチで、唸らされる。 |
・キャラクターは町内会がメインなので、クラスメイトは登場せず、かわりにクラスも年齢も性別もばらばらの子ども達が多数参加。特に、三人組と一緒に遭難して活躍する有本真奈美は、安藤圭子に匹敵する強い個性の持ち主で、レギュラー化が望まれたが、実現しなかった。 |
・山登りなど嫌いなハチベエがテレビゲームにつられて参加を承知するくだりはニヤリとしてしまうが、モーちゃんはともかく、マンガ、ゲームに興味のないはずのハカセまで、「魔界戦争2」と聞いて目を輝かすのは、かなり違和感を覚える。 |
管理人の評価
・ズッコケシリーズらしい荒唐無稽さは少ないが、リアルな山岳アドベンチャーとしてはかなり読ませる。ただし、ドラマ部分は弱い。 | ランクB |