第22作 | ズッコケTV本番中 |
基礎データ
初版 | 1990年12月 |
ページ数 | 204(あとがき2含む) |
ジャンル | 学校行事、ミステリー |
挿絵 | 前川かずお |
あらすじ | 新学期の委員決めで、モーちゃんはその気もないのに放送委員になってしまった。慣れない「職場」で苦労するモーちゃん。 ハカセとハチベエはモーちゃんのために個人的にカメラ取材の練習などをしてやる。一方、花山町では連続放火事件が発生していた。 三人組はその真相を追ったドキュメント番組制作に乗り出すが、ちょっとしたことからハチベエとモーちゃんが大喧嘩。二人の冷戦状態が 続く中、ついにハチベエは放火犯の手掛かりをつかむ……。 |
章立て(後ろの数字はページ)
1 | 放送委員誕生 | 10 |
2 | ビデオカメラ入門 | 60 |
3 | 花山町の放火魔を追う | 111 |
4 | ビデオ作品いまだ完成せず | 160 |
作者からきみたちへのメッセージ
テレビのまえで寝ころんでいるきみにつたえます。いまきみが見ているテレビ番組をつくるために、 どれくらいのひとが、どれだけ苦労しているかごぞんじか。 知らないなら、いますぐテレビをけして、この本を読みたまえ。 ついでに本をつくる苦労も、よーくわかるとおもうよ。 |
作品鑑賞
・前回に続き、作者自身の実体験を下に、専門用語をまじえて描かれた作品。好きでなったわけでもない校内放送の仕事に四苦八苦するモーちゃんと、それを外部からサポートしつつ折しも発生中の連続放火事件を追跡する三人組の活躍を並列的に描いている。 |
・あとがきで述べているように、一時作者が地元山口県のローカル局にゲスト出演していた際の経験を生かして書かれている。もっとも、それを再現するため、小学生とは思えないほどプロフェッショナルな人物が多いのにはいささか笑ってしまう。中学ならともかく、小学でそこまで高度なことはさすがにやらないだろう。 |
・その「職場」の中での閉鎖的、権威的な人間関係がリアルに描かれ、それを批判的にとらえる外部のハカセ、ハチベエとを対比させている。モーちゃんの後輩で放送委員の女の子がレギュラー並の活躍をする。彼女に関わる問題で、ハチベエとモーちゃんとがいまだかつてないほど感情的に対立してしまうのも見所だ。 モーちゃんがうじうじしながらも怒りを解かず、ハチベエも自分が悪いと思いつつ意地になって突っ張ってしまうあたりの描写は相変わらずとてもリアルだ。ハカセのどっちつかずの態度も納得できる。 |
・放火魔事件がサブモチーフになっているので、町内の各所がしばしば舞台になるのも特色。喫茶店の「田園」も被害を受けるが、ここは「事件記者」でも登場している。 |
・放火魔事件は決着するものの、最後までハチベエ、モーちゃんの仲直りしないと言うのもユニークな処理。無論、結局は和解したのだろうが。 |
管理人の評価
・放送委員の仕事の様子は正直あまり心躍らない。一方で、放火魔事件の捜査は面白い。ドラマ部分も丹念に描かれている。 | ランクC |