第27作 | ズッコケ三人組の大運動会 |
基礎データ
初版 | 1993年7月 |
ページ数 | 204(あとがき2含む) |
ジャンル | 学校行事 |
挿絵 | 高橋信也 |
あらすじ | 運動会を間近に控えてトレーニングに余念のないハチベエ。ちょうどそこへ小柄で足の速い転校生がやってくる。 ハチベエはリレーの選抜競争で転校生に負けてショックを受けるが、組体操の練習中の事故で、転校生は大怪我をしてしまう…… |
章立て(後ろの数字はページ)
プロローグ | 10 | |
1 | ライバル登場 | 17 |
2 | ただいま特訓中 | 59 |
3 | 思わぬアクシデント | 105 |
4 | 大運動会開催 | 152 |
作者からきみたちへのメッセージ
運動会が近づくと、ゆううつになる子どもがいる。かけっこのまえになると、いつも、おなかが痛くなる子どもがいる。 そんなきみは、ぜひこの本を読みたまえ。 この本を読めば、かならずかけっこで一等賞になれる ……ような気がしてくるぞ。 |
作品鑑賞
・あとがきで作者自身が述べているように、作者は運動が子供の頃から苦手で、それもあって今までズッコケシリーズでも運動会と言う定番の行事を描いてこなかった(「こちらズッコケ探偵事務所」に運動会前日と言うシーンがあるだけ)。 物語は、一見足の速い転校生とハチベエの競争に軸足が置かれているものの、実際は、作者自身の姿が投影されている運動の苦手なハカセが、徒競走で諦めずに最下位以上を目指す、弱者の努力がメインのドラマとして成立している。 |
・屈折した転校生のキャラクターは過去にもその後の作品にもあまり見られないアクの強さを見せて、好悪は別にして印象的だ。 |
・組体操の事故で、ハカセが漠然と責任の所在を考える箇所、地面に寝転がって深い秋の空を見上げる心理描写なども優れている。 |
・しかし、前作と違い、今回は重要なキャラである転校生のイラストも、代役の高橋信也が担当しているため、オリジナルの絵柄とのギャップが甚だしく、どうしても違和感を拭えない。前川かずおの挿絵で同じ作品を読んでいたら、感想も大きく違っていたのではないだろうか。 |
管理人の評価
・運動会の練習、本番を軸としてさまざまな子どもたちの横顔がコンパクトにちりばめられている。全体に瑕のない佳作だが、飛びぬけて面白いとも言えない。 | ランクC |