第33作 | ズッコケ三人組の神様体験 |
基礎データ
初版 | 1996年7月 |
ページ数 | 212(あとがき2含む) |
ジャンル | 地域行事、ミステリー |
挿絵 | 高橋信也 |
あらすじ | 町内会では秋祭りの際の有志によるオリジナルの神輿コンクールが企画され、あわせて、長い間行われていなかった子供たちによる稚児舞いも復活することになった。ハカセたちはクラスメイトたちとともに神輿作りに励み、踊り手に選ばれたハチベエは厳しい稽古にグロッキー気味。ところが、やがてハチベエの身に不思議なことが起こり始める……。 |
章立て(後ろの数字はページ)
1 | 花山神社の秋祭り | 10 |
2 | 手作りのおみこしコンテスト | 59 |
3 | ハチベエの奇跡 | 107 |
4 | 神様の条件 | 155 |
作者からきみたちへのメッセージ
きみの住んでる町や村にも神社があって、秋になると、お祭があるにちがいない。 なになに、神社もないし、お祭もないって……? そんなひとは、花山神社の秋祭りに出かけてごらん。 きっと楽しいいことが待っているにちがいない。 |
作品鑑賞
・地域の祭りと言う、極めてローカル色の強い素材を扱った異色作。町内の行事がモチーフになるエピソードは過去にもあったが、花山町を舞台にここまで徹底して町内行事にスポットを当てた作品は最初で最後だろう。 中盤までは、平凡に神輿作りや踊りの稽古など、要するに普通のお祭りの準備段階が描かれているのだが、後半になってがらりと趣を変えて、一種のオカルトめいたスピリチュアルの領域に踏み込んでしまう自由自在ぶりに舌を巻く。 |
・タイトルの「神様体験」以外にも、神輿コンクールのために神輿を考案したりするハカセたちの動きも複合的に語ることで、物語が単調になるのを防ぐ工夫もされている。 |
・ハチベエの体験する神秘にしても、ただ不思議として放り出すのではなく、最後に専門家による合理的な説明と言う解釈の余地も残しているのも作者らしい。神秘体験にせよ、ちゃんと過去の事例をハカセたちに調査させて信憑性を補強している。 |
・ラスト、ハチベエが自然と一体なる……それが作者の訴えるところの「神様体験」なのだが、そのくだりはいささか唐突で、抽象的なので子供の読者が読んでもピンと来ないのではないだろうか。 |
管理人の評価
・ストーリーは地味でとっつきにくい題材だが、後期作品としては文章、構成とも優れている方だろう。ただ、以前のような活気が文章から失われているのも事実だ。 | ランクC |