第40作 | ズッコケ三人組のバック・トゥ・ザ・フューチャー |
基礎データ
初版 | 1999年12月 |
ページ数 | 212(あとがき2含む) |
ジャンル | ドラマ |
挿絵 | 高橋信也 |
あらすじ | ハカセは自分史の作成を思い立つ。触発されたハチベエ、モーちゃんも自分たちの昔の記憶をたぐっていったが、 ハチベエはかつて仲の良かった女友達のことを強く想うようになった。そして意外な事実が浮かび上がってくる……。 |
章立て(後ろの数字はページ)
1 | ハチベエの誕生日 | 10 |
2 | 交通事故と強盗事件 | 58 |
3 | まぼろしの美少女 | 107 |
4 | 運命の再会 | 158 |
作者からきみたちへのメッセージ
人間は、だれでも思い出がある。 百歳のおじいさんには百年の思い出があるし、 生まれたてのあかちゃんにも、 お母さんのおなかのなかですごした思い出がある。 きみも、自分の思い出さがしにでかけてみよう。 |
作品鑑賞
・あとがきで作者が断っているように、このタイトルはいささか内容とそぐわない。周期的にこの辺でタイムとラベルモノが来てもおかしくなかったけれど、仮にそういうジャンルだったとしても傑作が生まれていたとは考えにくい。小学生が自分史を作ると言う極めて地味なプロットなのだが、結果的に子供たちの微妙な心理の綾を描くことになり、それが結果的に野間児童文学賞という、よく知らないのだが、ズッコケシリーズ単独作品として唯一の受賞をもたらすこととなった。 シリーズそのものは巌谷小波賞を受賞。もっとも、この程度で文学賞を取るのなら、「マル秘大作戦」「山賊修行中」「大当たりズッコケ占い百科」あたりだって取ってしかるべきだろう。 |
・今回の物語、発端はハカセの提言だが、中核は、ハチベエの幼友達に関する封印されていた記憶を呼び戻す過程に費やされている。それは証言や事実の細かい辻褄あわせをすすめ、推理を重ねていく、ある種のミステリーの要素を持ったもので、それはそれで面白い。ただ、シリーズがかなり進んでから、つまり後付で「モーちゃん」の渾名の由来が、タエ子姉さんが集団登校時に「もー、ちゃんとしなさい」と言っていたということへ改竄されているのはアンフェアに感じる。初期の頃は、ちゃんと作者が、つまり地の分で「モーちゃんのモーはスローモーのモーなのだ」と書いてるのだ。 |
・やはり、中学高校ならともかく、小学6年が自分たちの幼い頃の歴史を再確認しようなどと思うだろうかと言う、根本的な疑問がつきまとう。 |
管理人の評価
・丁寧に書いてあるが、いくらなんでも後ろ向き過ぎる題材で、中盤のミステリー要素で何とか最後まで読めるが、全盛時の破天荒のパワーは既にない。 | ランクC |