第41作 | 緊急入院!ズッコケ病院大事件 |
基礎データ
初版 | 2000年7月 |
ページ数 | 220(あとがき2含む) |
ジャンル | シミュレーション |
挿絵 | 高橋信也 |
あらすじ | ハチベエたち三人組はクラスの女の子とともに、山奥の釣りの穴場へ遊びにくるが、その後、 次々と体調を崩し、入院するハメになる。原因は意外なところからもたらされたウィルスだった。 |
章立て(後ろの数字はページ)
1 | なぞの男 | 10 |
2 | なぞの伝染病 | 62 |
3 | ミドリ病院感染症センター | 116 |
4 | 退院、そして…… | 169 |
作者からきみたちへのメッセージ
病気になるのは、うれしいことじゃない。 できれば健康ですごしたい。 でも、運悪く病気やゲカで入院することになったら、 この本をかかえて入院しよう。 すこしは元気が出るはずだよ。 |
作品鑑賞
・いよいよゴールが見えてきた41弾。しかし、この段階では既に50作品と言う目標を達成するために惰性で書き続けている雰囲気が濃厚で、40番台は著しくクオリティの低下が見られる。今更言ってもしょうがないが、前回の賞を獲った「バック〜」で完結させるべきではなかったか、と思う。 |
・今回も完全な伝染病対策、入院、加療のシミュレーションであり、もはや児童文学として呼べるかどうかも怪しい。確かにシミュレーションとしてはしっかり調べて取材して書かれており、それは立派なのであるが……。 |
・導入部の、およそ児童文学らしからぬ裏社会の人間たちの描写からして、読む気がうせる。また、後期作品に共通して見られることだが、物語の展開が遅い。つまり、冒頭の殺し屋のパートが長過ぎるのだ。こんなものは1章の1節くらいでささっと済ますべきなのに、1章分ほぼまるごと費やしている。だから、ハチベエたちが体調を崩す、つまり物語が本筋に入るのが100ページ近くになってからという、極めてスローモーな構成になってしまい、その後のストーリーが窮屈になってしまう。 |
・もっとも、今回はほんとにハチベエたちが病気になって入院して治療されると言うだけのことで、せいぜい入院中のクラスメイトを互いに気遣ったり、ハカセが病気の原因に関するヒントを提供するなど、微かにドラマ要素もあるのだが、感染症シミュレーションの域を脱するには程遠い。だから、展開が早かろうが遅かろうが、これが傑作になっていたとは到底思えない。 |
・唯一、荒井陽子たちが珍しく病気になって憔悴している様子は、なかなか新鮮で可愛いというくらいが収穫だ。 |
管理人の評価
・40番台はどれも再読が厳しいものが多いが、それでもまだこれは最低限の水準は保っている。 | ランクD |